省エネとコスト比較
CO 2 排出量の削減のために、世界各国で白熱電球を廃止する動きが広がっています。日本でも、経済産業省が2012年までに白熱電球の製造・販売を中止し、原則として電球形蛍光ランプなどへの切りかえの実現を目指す方針を打ち出しました。
この政府の方針を受けて、それまで白熱電球を製造していた企業からは、一般白熱電球の生産終了または終了予定が発表され、2012年までに多くの企業において生産が終了となりました。そしてこの間、電球形蛍光ランプや電球形LEDランプなどの省エネランプへの切り替え、普及が加速しています。特に、2011年以降は省エネ志向の高まりと共に、電球形LEDランプが急速に普及しています。
なお、電球形LEDランプや電球形蛍光ランプに完全に置き換えられない一部の白熱電球、特殊電球に分類されるミニクリプトン電球、反射形電球などは、使用者が困らないように企業によっては現在でも生産が続けられています。
白熱灯に比べ大幅な省エネが可能となるLED照明は、次世代照明の最有力候補。 省エネによる環境への配慮はもちろん、コスト面でも白熱灯に勝る効果が期待できます。
参考:LED交通信号機による省エネ効果の試算
従来の電球式の交通信号機をLED化した場合の日本全国の省エネルギー量を試算して見ました。その結果は、原油換算で年間22.8万kl、大型タンカー1隻分の石油量となります。
(計算方法)
1. 電球式とLEDによる消費電力の差の算出
車両用信号機の光源の消費電力70WがLEDでは12Wになり、1機当たり58Wの省エネが図られます。同様に、歩行者用信号機では光源の消費電力60WがLEDでは12Wになり、1機当たり48Wの省エネが図られます。
2. 日本全国の省エネ量の計算
信号機の機数は、 警察庁交通規制課のサイト に掲載があります。
これによると、平成18年3月末時点で車両用112万機、歩行者用87万機です。 計算は、車両用、歩行者用とも1機当たりの省エネ消費電力×24時間×365日×全国の信号機数の式により算出できます。
車両用:58W×24時間×365日×112万機=56,905万kWh
歩行者用:48W×24時間×365日×87万機=36,582万kWh
両者を合計すると、93,487万kWh=9.35億kWhとなります。
3. 発生エネルギーへの換算
9.35億kWhは消費エネルギー量で、これを発生エネルギー量に換算するには、 発電所からの送変配電損失5.1%を補正する必要があります。
9.35÷0.949=9.8525≒9.9億kWhで、発生エネルギー量としては9.9億kWhとなります。
4. 発電用原油換算による省エネ量
電力エネルギーの原油換算については、経済産業省資源エネルギー庁が平成19年5月にまとめた「 エネルギー源別標準発熱量 」の数値を使います。
受電端投入熱量(受電端での1kWhを発送変配電するために必要なエネルギー量)は9.63MJ(発電効率40.88%、所内損失3.5%、送変配電損失5.1%)。 *1MJ=239kcal 発電用原油の標準発熱量は1l当たり39.4MJ。この2つの公式から1kWh=9.63/39.4=0.244lです。
9.35億kWhは、9.35億kWh×0.244kl=22.8万klの原油量換算となります。